ECGチャンネル

榎本会計事務所の税理士・スタッフたちが、
税務・会計・経営コラム・用語集など、経営者のヒントを発信!

第405号『解雇を行う前に考えておきたいこと』

 ★☆★ 新刊情報 ★☆★

この本執筆したのは弊社代表の税理士、榎本恵一とヒューマネコンサルティング株式会社代表取締役の阿部重利先生です。ワーク・ライフ・バランスを越えて、働き方が変わる!会社が変わる!不況の中でも元気に業績を伸ばしている企業があります。業績が右肩上がりの企業とそうでない企業とでは、どこが違うのか。このシンプルな疑問に答えを出しました。本書では、今、元気あふれる企業をピックアップし、その事例の中から元気の源を探ってみました。その結果わかったことは、それらの企業には“ワーク・ライフ・ハピネス"という考え方が根底にあるのです。“ワーク・ライフ・ハピネス"が中小企業の元気の“素"だったのです。業績不振に悩む中小企業の経営者、管理者の目からウロコ本です。

 

worklifehappiness.jpg

 

「実践 ワーク・ライフ・ハピネス」を購入する

Amazon オンライン書店ビーケーワン(bk1)

 

 

 

 

 

 

 

 

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

解雇を行う前に考えておきたいこと      社会保険労務士 吉田 幸司

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

解雇についての相談が続いてありました。どれも事業主が社員を解雇したいと
いうものです。理由を聞いて見ると、無断欠勤、飲酒就業、サボタージュ等、
確かにどれも就業規則の解雇または懲戒解雇に該当するであろう事案です。

今回の事案では共通して本人がその非を認めて離職の意思を示していました。
このような場合、就業規則の解雇要件に該当するのでそれに従い解雇すること
は困難ではないでしょう。本人を呼んで、解雇の通知をすればよいのです。

しかし、事業所側が安易に解雇通告をすると思わぬリスクを抱えてしまうこと
になります。

1つは解雇予告手当の問題です。解雇をする場合には1カ月以上前に予告をす
るか、30日分以上の解雇予告手当を支払わなければならない。と労働基準法
で定められています。

今日をもって解雇すると社員に通告するとその時点で解雇予告手当を30日分
支払う義務が生じてしまいます。
解雇したい人にさらに30日分の解雇予告手当を支払うことは事業主として納
得しにくいでしょう。

解雇予告手当を支払わずに即時解雇するには、解雇予告手当除外認定を労働基
準監督署に出してもらなければなりません。

この解雇予告手当除外認定は、無断欠勤であれば14日以上あり、その間に内
容証明郵便等を使って出勤の督促をしていた場合等に出されるので、無断欠勤
しただけですぐに得られるものではありません。

その他、会社内の窃盗等非常に限定した場合にのみ認定がされます。というこ
とは、就業規則の解雇に該当するから解雇するというのは、事業所側にとって
経済的に損失でしかありません。

その上、解雇の有効性というリスクを抱えることにもなります。

労働契約法には、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当で
あると認められない場合、権利を濫用したものとして無効となります。」と規
定があり、飲酒就業や無断欠勤やサボタージュがあってすぐに解雇を通告する
と、社会通念上相当ではないと判断されてしまう恐れもあります。

警告や指導を十分に行った上での不行跡であれば社会通念上相当と判断されや
すいのですが、1回の不行跡をとらえて解雇にすると、改悛の余地があったの
ではないかと考えられてしまいがちなのです。

仮に解雇無効の訴えを起こされると、判断が決まるまで何カ月もかかる上に、
時間と労力を取られてしまうことになります。
 
ここでも事業所側は経済的ロスを抱えてしまうのです。

別の視点で解雇をとらえてみると、雇用保険の基本手当は自己都合退職とそれ
以外では、支給日数や支給制限等でかなりの違いがあることはよく知られてい
ます。

解雇を通告すると、基本手当は支給制限期間がなく、支給日数も多くなりがち
です。とすると、不行跡で解雇した社員はすぐに基本手当を受給でき、本人の
都合で退職した人は、一般に3カ月程度の支給制限期間が生まれるという事業
主にとっては面白くない事態を招きます。

結果的に解雇通知をして本人を助けることになりかねません。

以上のことなどを考えると、本人が離職の意思を持っていて、解雇予告手当除
外認定を得られないような事案では、解雇通告をせずに依願退職をさせた方が、
事業主に経済的メリットと訴訟リスクの回避メリットがあるだけでなく、本人
の収入面にダメージを与えることになります。

一時の感情だけで解雇を通告するのは得策ではないのかもしれません。

ただし、重大な反社会的行為や重大犯罪を犯した場合などは企業の社会的責任
の観点から解雇を通告する必要もあるという点は忘れないでください。

 

 ◆◇◆ 人事戦略研究所 吉田 幸司 プロフィール ◆◇◆ 

  【https://www.ecg.co.jp/about/yoshidakouji.php?mm=405

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
  
 ≪おすすめ書籍のご案内≫

 当メルマガの執筆陣の著書です。是非ご一読下さい!

 ★New!!
  『実践 ワーク・ライフ・ハピネス』
   榎本恵一、阿部重利共著 藤原直哉監修
    https://www.ecg.co.jp/topics/post_53.php?mm=405

 ★『知って得する年金・税金・雇用・健康保険の基礎知識 2013年版』
   榎本恵一、渡辺峰男、吉田幸司、林充之共著
    https://www.ecg.co.jp/topics/2013.php?mm=405

 ★『社長、ちょっと待って!!それは労使トラブルになりますよ!』
   榎本恵一、谷原誠、吉田幸司、渡辺峰男共著
    https://www.ecg.co.jp/topics/post_52.php?mm=405
 
 ★『経営コーチ入門 経営者をサポートする』
   榎本恵一、伊地知克哉、林 充之共著
    https://www.ecg.co.jp/topics/post_49.php?mm=405


-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

編集後記                     副編集長 塩田 剛也

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

当メールマガジンをご愛読頂きまして誠にありがとうございます。

本日より副編集長を拝命いたしました。塩田剛也と申します。
よろしくお願いいたします。

簡単な自己紹介をさせていただきます。
以前は保険会社に勤めておりました。実は今月入社したばかりの新米スタッフ
でございます。

前職では福岡県の支社に勤めておりまして、休日の温泉とお酒が些細な楽しみ
でした。

異なる業種に転職したこともあり、右も左もわからない状態ではございますが、
早く皆様のお役に立てるようにがんばって参ります。

どうぞよろしくお願いいたします。

さて、今号では解雇についてお送りいたしました。私も前職は自己都合退職で
あったため、失業手当を受給するまでに4ヶ月ほどかかりました。正直に言い
ますと、いっそのこと解雇扱いにしてもらえればいいのにと思っていました。

今回、解雇により経営者が追うリスク、デメリットを学び、余計な迷惑を掛け
てしまうことになると知りました。

違う視点から物事を考えるのはやはり大事なことですね。

それでは、次号、第406号は9月17日(火)に配信予定です。
どうぞお楽しみに!

 ★☆★ ツイッター&フェイスブックもやっています! ★☆★

   一緒に盛り上げて下さい、是非フォロー&いいね!をお願いします!
   ツイッター http://twitter.com/#!/enomotokaikei
   フェイスブック http://www.facebook.com/enomotokaikei

 
○━━知って得する経営塾 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○

 【発行者】    榎本会計事務所&株式会社イーシーセンター
 【HP】     https://www.ecg.co.jp/?mm=405
 【連絡先】    info@ecg.co.jp   
 【バックナンバー】https://www.ecg.co.jp/blog/mm.php?mm=405
  【発行システム】 
 まぐまぐ(ID 0000052980)  http://www.mag2.com/m/0000052980.html
 メルマ!(ID 014722)     http://www.melma.com/backnumber_154169/
 メルマ! (ID m00044409)   http://www.melma.com/backnumber_44409/
 めろんぱん              http://www.melonpan.net/mag.php?005840

 ■□■ 登録や解除はそれぞれの発行システムからお願いします ■□■ 

 ■□■□■このメールマガジンの無断転載・無断引用は禁じます■□■□■
           All Rights Reserved (c)2000-2013
          by 榎本会計事務所&イーシーセンター
○━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○

ECGチャンネル アーカイブ

ECGチャンネルトップに戻る

榎本会計事務所のセミナー・研修

榎本税務会計事務所への
お問い合わせ

税理士と経営コーチが経営者を支援します。まずはご連絡ください。


主な対応地域
墨田区(両国.錦糸町.業平橋.菊川.曳舟.向島...)、中央区(東京.銀座.日本橋.築地.月島.勝どき...)、台東区(浅草橋.秋葉原.浅草.上野.蔵前.御徒町...)、江東区(門前仲町.木場.東陽町.南砂町.清澄白河.森下.住吉.亀戸.大島...)、葛飾区(新小岩...)、江戸川区(平井.小岩...)、その他の東京、千葉、神奈川、埼玉、茨城