第313号『納税者の権利救済の厳しい現状』
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タックスペイヤーの視点121
-納税者の権利救済の厳しい現状-
税理士・編集長 榎本 恵一
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皆さん、ご無沙汰をしております、編集長・税理士の榎本恵一です。
この一週間は、全国的に秋晴れのようで、週中には、25度を超える夏日に
なる予想もあります、お風邪を引かれている方が目立ってきましたので
ご用心下さい。
さて、わが国の政治経済も野田政権になってから全くアクティビティ的な
決断が一つもありません。11月が一つの山場でしょう。
国際的な行事がある中で国内のコンセンサスを取らず、どのような発言を
するのでしょうか。
11月には、経済アナリスト藤原直哉先生とのネットラジオ対談があります
ので、その辺りに焦点をあててお聞きしてみたいと思います。
現在、私は、東京税理士会の学会である、日本税務会計学会に所属し、
年一回行われます、年次大会の発表者として、11月半ばに控えて
おります。
そのテーマが納税環境の整備というものですが、一言でいうと、納税者の
権利をきちんと確立させましょうなどの事です。
皆さん、納税者の権利ってなんでしょうか。
よく聞く言葉にその反対の納税の義務がありますが、
わが国では、権利が確立されていないのです(行政救済の一つとも
言えます)。
政府の行政救済制度検討チームのワーキンググループは、7月28日から
5回にわたり、「不服申立前置の全面的見直し」をテーマに検討しました。
その9月7日のヒアリング最終日には、財務省・国税庁・国税不服審判所が
ヒアリングに出席し、国税通則法に規定のある税務署への「異議申立て」、
国税不服審判所への「審査請求」という二重前置制度について、
あくまで「存置すべき」と主張しました。
※二重前置制度とは
国税に関する不服申立制度は、まず処分(更正・決定等)を受けた納税者
が、その処分に不服がある場合、2ヶ月以内に原処分庁(税務署長等)へ
「異議申立て」を行います。
異議申立ての結果、原処分庁からなされた「異議決定」に、なお不服があ
る場合には、1ヶ月以内に国税不服審判所に「審査請求」を行います。
その「裁決」を経て、なお不服の場合に「訴訟」(6ヶ月以内)へ進むと
いうプロセスをたどる二重前置制度となっています。
行政救済検討チームは、直接訴訟への道を拓こうと検討しているようです。
これに対し財務・国税側は、下記のように主張しました。
「国税に関する不服申立てが大量に、毎年度反復して特定の時期に集中して
行われるという性質。また、その不服の内容が要件事実の認定の当否に係
るものが多いこと。さらに現実において、納税者の不服について簡易、迅
速な救済を図るという異議申立の目的が現行制度により、かなりの程度に
おいて達せられているという事実にかえりみ、原則として維持することが
適当」
しかし、納税者の権利救済という視点からは、直接訴訟に持ち込むことを禁
止する必要はないというのが検討チームの基本的考え方です。
また、国税庁がこのほど発表した平成24年度定員・機構要求によりますと、
同年度の定員要求については、増員要求が強く抑制されているなか、下記の
観点から、前年の1,087人より11人多い1,098人の増員の要求
(仮置き)を行いました。
(1)東日本大震災への対応
(2)税制改正への対応
(3)審理体制の充実強化
(4)調査・徴収体制の充実強化
(5)国際化への対応及び
(6)社会保障・税に関わる番号制度への対応
ただし、平成24年度の国税庁の定員合理化目標数が1,060人となって
いることから、このまま要望が100%認められれば、同庁の定員数は
38人の純増(23年度29人)となります。
いずれにせよ、どこの省庁も既得権益や人事上の問題の為に、
直接訴訟じゃなく、その前の2段階を踏襲させるとしたら、納税者救済は
いつの時期になるのでしょうか。
それと同時に、予算執行の透明性をきちんと納税者に提示出来ていない
現状にいらだちます。
皆さんも今後、納税の義務もあれば権利もある事を理解し
このようなニュースにも是非目を通して貰いたいと思います。
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編集後記 副編集長 渡邉 正行
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いつも当メールマガジンをご愛読頂きまして誠にありがとうございます!
今回より編集に携わることになりました、渡邉と申します。
隙間時間にさらっと読んで、ちょっとした気づきを感じてもらえるような
メールマガジンの発行を目指して参ります。
どうぞよろしくお願いします。
さて、本日で10月も終わりです。早いもので今年も残りあと2ヶ月。
季節の変わり目で体調を崩されている方も多いのではないでしょうか。
年末の繁忙期に向けて、しっかりと体調を整えていきたいところですね。
次回第314号は11月7日(月)に配信予定です。お楽しみに!
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