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知って得する経営塾 第158号

パートナーコンサルタントの伊地知です。新聞報道などによれば、日銀は14日の政策委員会・金融政策決定会合で、短期金利をほぼゼロ%に抑え込んでいた「ゼロ金利政策」を解除することを決め、即日実施したようです。また、短期金利の誘導目標をゼロ%から年0.25%に引き上げると同時に、公定歩合も現行の年0.1%から0.4%に引き上げるようです。その理由として、景気の持続的拡大により、日本経済が深刻なデフレに逆戻りする恐れはないと判断したためとしています。これで、約5年4カ月ぶりに短期金融市場で金利を復活させ、平時の金融政策に戻すことになります。

さて、ここからは金利は上昇する経済環境となります。企業経営においては、金利上昇に耐えうる収益体質であるかどうか、経営者の真価が問われるときです。そもそもゼロ金利ということは、経済が異常事態であったということですが、政策転換をしたのですから、その段階は脱したと金融当局は判断しているようです。

金利上昇で変動金利の融資を受けている場合は、当然に支払利息の上昇圧力が高まるでしょう。また、固定金利の恩恵を受けていても、完済後に融資を改めて受ける場合は、そのときの金利水準での借入となりますので、時間の猶予があるかないかの違いということになります。今日の日経平均株価は、1万5千円割れとなっていますが、これまでゼロ金利で個人の信用取引を活発化させて儲けてきたネット証券各社も、収益力が試されるときです。しかし、ネット証券は更なる手数料の引き下げによる価格戦争を行っています。

デフレ経済においては価格を引き下げて顧客を獲得することも、一定のメリットはありました。しかし、デフレ脱却、インフレ懸念のある現状においては、価格競争ではなく品質で勝負する(価格を引き下げる、少なくともこれまでの価格を維持できる)経営を行っていきませんと、5年後、10年後に生き残っていられるか、疑問が残ります。価格競争は大量販売ができないとうまくいきません。

これまでは企業の資金調達コストである金利はゼロということなので、ほとんど金利変動を踏まえて利益計画を策定することはなかったと思います。ところが、今後の金利は上昇傾向にありますから、中期経営計画を策定する際、1年後の金利、3年後の金利、5年後の金利は異なるものとして試算しておく必要があります。今一度、経営の足元を財務指標で確認しましょう。

たとえば、直近の損益計算書において、営業利益に対する支払利息の割合がどのくらいあるかを確認します。これが50%を超えているようですと、この後の金利上昇動向によっては、2、3年で支払利息の増加で本業の稼ぎである営業利益がなくなってしまう可能性が高いと考えられます。また、売上高と有利子負債(貸借対照表の短期借入金や長期借入金)の金額が同じか有利子負債のほうが大きい場合で、売上高営業利益率が5%以下になっているのであれば、同様の可能性が高いと考えられます。

以上の確認指標に該当する場合は、本業の収益力を高める努力が必要です。収益力を高めるには、費用の削減か本業の見直しが必要です。費用の削減は、これまでも行ってきたでしょうから、多くの企業では本業の見直しを図るしかないと思います。どうしようか迷っているだけとか、何もしないことが、ますます事態を悪化させることになります。迅速に対応するリーダーシップが大切です。

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