中小企業経営塾 第46号
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■ 目次
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▼掲示板
▼タックスペイヤーの視点10 税理士・FP 榎本 恵一
▼2002年版中小企業白書 まちの起業家の時代 中小企業診断士 駒井 伸俊
▼続く日本の製造業の海外展開(1) MBA 長友 孝幸
▼雇用保険について AFP 小林 義和
▼武蔵氷業復活! 落語家 三遊亭金時
▼編集後記 副編集長 小林 義和
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■ 掲示板
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歳時記
7月20日 海の日
7月22日 げたの日
7月25日 かきごおりの日
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■ タックスペイヤーの視点10 税理士・FP 榎本 恵一
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毎日毎日、暑い日射しと冷房の効いている部屋の往復で体調を崩されている方
を多く見かけますが皆様体調管理は如何でしょうか。最近の実地作業の感想で
すが、6月分の会計監査にお邪魔しますと、軒並み売上が落ちている事に気が
付きました。一部報道で、6月のワールドカップ開催期間中は、飲食店を中心
にして前年同月比が下がっていると報じられていましたが、私が感じる所では
どうも飲食店に限らず、一部を除く全ての産業がワールドカップに飲み込まれ
てしまったように感じます。皆様の地方では如何でしょうか。
さて、今号では、来月(8月5日)に施行されます改正住民基本台帳法と2003
年に実施予定の電子申告制度に関しまして考えてみたいと思います。
先ず、国民に11桁の番号を付けて個人情報をオンライン化する住民基本台帳ネッ
トワーク(住基ネット)がいよいよ来月の5日から稼動する予定です。なかな
か最新情報が伝わってきませんが、7月11日付け日本経済新聞の報道により
ますと、「異論押し切り来月に始動」という見出しで詳細が掲載されています
ので確認してみて下ださい(一方、野党は凍結案の準備をしています)。
各地方自治体のコメントをみても、推進・容認派と延期派に完全に分かれてい
ます。推進派は、数年前から準備していたのだから・・・が多いように感じま
すが、利用する住民は、その利便性や手続きについて理解しているのでしょう
か。インターネットが普及してきたとはいえ、全ての国民が利用している訳で
もありませんし、ICカード(あるいはカードを使用する事に抵抗をする人も多
いのでは)と言ってもピントこないのが現実なのではないでしょうか。延期派
の大部分が、個人情報の保護とセキュリティーの未整備を上げています。とに
かく最大の課題は、セキュリティー対策です。安全性の確保がない限り私も普
及し得ないと思います。
一方、電子申告の方は2003年に実施予定になっていますが、こちらも、情報が
少なく、確実に言えることは、作業が遅れていると言う事だけです。そもそも、
電子申告とは、日本中のあらゆる行政手続きがインターネットを使用してでき
る電子化の一環です。その終着点は3年後と設定されており、その時には、世
界最先端の電子国家になるというe-Japan構想の一つなのです。電子申告に関し
ては、諸外国でも実施されていますが、インターネットの様々な弊害があり、
アメリカやオーストラリアの成功例はダイヤルアップ方式でありインターネッ
トを使用しては、大変難しい点が上げられます。
そもそも、行政手続きのIT化とは一体何でしょうか。住民票、婚姻届、出生届
などの行政手続きの簡素化や、一分、一秒を争う発明などの特許などには適し
ていますが、税務関連の電子化は全て適合するものではないと思います。何故
ならば、申告期限や提出期限などはありますが、始めから定められている為、
ぎりぎりの仕事をしなければ、本来、遠隔地においても、郵送手続きで何ら問
題がないのです。それより、別紙や資料などの細部を提出しなければならない
ときは、【電子】に頼らず郵送で【申告】すればいいのです。
それよりも、わが国も給与所得者に年末調整制度のみではなく、タックスペイ
ヤーとして、申告納税制度(自分自らが申告すること)の道を開く事の方から
始めた方が電子申告(IT化)が進むのではないかと思います。
更に一番厄介な問題があります。電子署名の問題です。電子署名とは、申告主
個人や法人の代表に電子上でサイン(簡単に言えば今までの判子の事)をして
もらうのですが、これがまた厄介で今の技術だとコスト倒れになりかねません。
その人本人になりすます人が出現したり、代理人が本当に正式な資格を持って
いるかを確認したりと本来の申告書の提出の意味が何のために電子化するのか
分からなくなる恐れすらあります。現実的には、一部の業務を2003年から始め
るにせよ、本格化は技術的に考えて時期尚早のような気がします。電子申告は
個人のプライバシー侵害の問題なども存在しますので、問題点を整理しながら
国民に告知して進めるにせよ2005年(e-Japan構想最終年)位がちょうどいいの
ではないかと私は考えています。
次回は、電子申告が導入されるにせよその根底には、租税法律主義があります。
その租税法律主義について考えてみたいと思います。
榎本会計事務所
https://www.ecg.co.jp/firm/?mm=46
* 榎本のコラムは下記からどうぞ
声による情報 03-5909-9102(録音されたメッセージが聞けます)
ホームページによる文字情報 https://www.ecg.co.jp/koe?mm=46
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■ 2002年版中小企業白書 まちの起業家の時代 駒井 伸俊
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-経営革新を行う中小企業への支援策(4)-
今号では、経営革新支援法の承認を受けた中小企業が活用できる支援策のうち
融資に関するお話です。
資金は企業体にとって血液です。生物にとって、血液の循環が悪くなれば、体
内に酸素や栄養分がいきわたらず、あちらこちらに支障をきたします。同様に、
企業にとっても、資金が滞れば、商品の支払いや従業員の給料の支払い、さら
には、経営革新のための投資もできなくなり、企業の存続が危ぶまれます。
経営革新のための設備投資等のすべてを自己資金でまかなえれば、それに越し
たことはありませんが、余裕資金のあるところばかりではありません。そこで、
政府系金融機関の低利の融資制度と小規模企業者のための貸付制度があります。
まず、政府系金融機関の低利融資(i)は、主に国民生活金融公庫、中小企業金
融公庫、商工組合中央金庫等が経営革新計画に必要な設備資金や長期の運手金
資金を融資します。例えば、国民生活金融公庫の場合、設備資金7,200万円(う
ち運転資金4,800万円)を15年間(運転資金は5年間)の返済で、1.25~1.95%
の低利で融資を受けることができます。
次に、小規模企業者のための貸付制度(ii)は、従業員数が20名(商業・サー
ビス業は5人)以下の事業者または個人事業者に対して、経営革新計画を実施
するために必要な設備資金を必要な金額の3分の2(6,000万円まで)を無利子
で貸し付ける制度です。返済の期間は半年据え置きの7年返済です。
そちらの制度も、他の金融機関の一般的な融資よりは、有利な条件ではないで
しょうか? もちろん、融資のための審査は必要ですので、経営革新計画の承認
を受けたからといって、無条件に融資が受けられるわけではありませんが、少
しでも返済の負担を減らす方策をとっておくべきではないでしょうか。また、
経営革新計画に基づく事業のための資金なわけですから、計画との整合性をチェッ
クしていくことで、ついつい経営者が陥りがちな融資を受けた後のお金(借金)
は自分のお金といったゆるくなりがちな資金管理の一定の歯止めにもなります。
資金面での健全性は、企業の成長と企業体質の強化には欠かすことができませ
ん。血液の質がすぐ変わらないのと同様、企業の資金状態もすぐに改善される
ものではありませんが、融資の有効利用も、経営革新実現の一つの手段です。
(i)原則として、担保・保証人が必要ですが、一定の場合、特例があります。
(ii)原則として2名以上の保証人が必要になります。
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■ 続く日本の製造業の海外展開(1) MBA 長友 孝幸
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・世界の製造工場【中国】
海外展開の目的
戦後の日本企業は、国内で最終的な製品まで仕上げ海外に輸出するという輸出
中心型経営を中心に発展してきました。輸出に傾斜した産業構造は日本企業の
グローバル化によって次第に変化し、海外直接投資をテコにして、国境を越え
て海外に進出し、生産や販売活動だけでなく研究開発までも行っています。
過去の海外展開の目的は、多くの生産品を販売するための新たな市場の開拓が
すべてというケースでした。当初は国内で生産された製品を海外市場へ輸出し
ていた状況から、各国との貿易摩擦、為替変動、さらには国内の人件費の高騰
に対応するために、個々の日本企業は現地法人を設立して現地で生産しなけれ
ばならない状況になり、生産・輸出という従来のパターンから生産拠点の海外
移転へと海外戦略の転換をしています。
現在の海外展開の目的は、国際的な製造システム・ネットワークを構築・運営
することで、自己がターゲットとする市場において競争優位を確立することに
あります。日本企業には電子・電機、自動車、事務機、機械など世界的に競争
優位を持っている部門が多く、技術力、経営力によって競争優位をすでに持っ
ている企業ほど、国際的な製造システム・ネットワークの構築・運営を成功す
る可能性があります。
このような企業の場合、労働力面での比較優位を持つ中国市場に労働集約的な
組立工程を移転し、部品の輸送コストが比較的低いことを利用することで機能
部品など日本が比較優位を持っている部分とのネットワークを構築させ、世界
的視野にたつ競争優位の立て直しを図ることは誰もが考えることです。
80年代後半以降、日本の企業環境は自由化、市場化、グローバル化という大き
な変化の中にさらされています。このような変化の背景のひとつに、日本企業
による国境を超えた競争の激化、産業の再構成など、経済の効率化を促進しよ
うとする動きがあります。円高に対応してコスト引き下げ努力が行われる中で、
多くの日本企業は競争力強化のために一層の部品・材料の現地調達の拡大を必
要とし、現地調達率の引き上げを大きな課題と言えます。
これらの要因に対して、(1)労働集約度の高い部品産業が現地の日本完成品
メーカーあるいは国内完成品メーカーのコスト面での要求、(2)現地政府の
産業政策上の要求(現地生産比率を上昇させたい)を実現するために、中国で
は日本の裾野産業企業の更なる進出や英国工場から不用になった自動車エンジ
ンの生産ラインを購入するなど、日本企業、現地企業を問わずに大規模な設備
投資が強まっています
次回は中国の自動車産業をベースに、外資合弁の自動車メーカーと中国の国内
自動車メーカーの低価格戦略を見ていこうと思います。
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■ 雇用保険について AFP 小林 義和
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平成十四年二月十四日、坂口厚生労働大臣は予算委員会の中で「雇用保険財政
には新たな財源を検討する必要がある」と発言されました。裏を返せば、この
ままでは今の制度を維持することはできず、失業手当等を支払えなくなるとい
うことでしょうか。
ご存知のとおり、失業手当は、雇用保険料を支払っている方が失業状態になっ
た際に、期間を定めて受け取ることができ、他教育訓練、職業訓練を行うなど
することにより手当金を受け取ることができるなどのメリットがあります。ま
た、雇用する側にも、各種助成金が交付されることがあるなど、メリットがあ
ります。
そのような雇用保険の担当大臣が破綻寸前であると発言したのだから事は問題
です。平成十三年四月、雇用保険料の引き上げを行いましたが、折からの不況
の影響で失業者の急増が叫ばれるなか4兆5千億円あった積立金が今では1千5百
億円まで減ってしまい、焼け石に水でした。それだけ逼迫(ひっぱく)してい
るということでしょう。
ここで考えたいのが、失業手当の本質です。現行の制度ですと、会社の倒産や
人員整理等で泣く泣く失業した方の場合も、大企業を定年退職して高額な退職
金をもらった場合でも、規定の雇用保険料の支払いと求職の意志があれば、失
業手当はもらえます。本当に失業手当を必要としている前者はまだしも、早急
にお金の必要がない後者の方でも支給用件に違いがあるにしても失業手当を受
給できるシステムはある意味で公平さがないように感じます。
と言いつつ、次回から雇用保険の制度と利用についてお話していきます。
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■ 武蔵氷業復活! 落語家 三遊亭金時
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8月11日、谷中の全生庵で落語協会の主催で円朝祭りが催されます。これは幕
末から明治にかけて古典落語は勿論、今は古典となった名作の創作落語、弟子
の育成、普及、落語界の中興の祖である三遊亭 円朝師匠を祭る御祭りです。
今までは芸人仲間だけで細々とやってましたが、大々的にやることになりまし
た(落語協会ホームページ参照)。その模擬店の中で、あたしがかき氷屋を出店
します。店名は勿論、武蔵氷業。おなじみの純氷をお届けします。このメール
マガジンを見てきた方は50円割引します。朝10時から夜6時ぐらいまで、是非
お越しください。
交通:地下鉄千代田線、千駄木駅、徒歩5分、全生庵。
日時:8月11日(日)10時より。
問い合わせ:03-3833-8563 落語協会
※ボランテイアで氷屋を手伝って下さる方いたらメール下さい
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■ 編集後記 副編集長 小林 義和
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真夏日が続いたかと思えば、急な梅雨寒だったり、台風が来たりと夏に向けて
の準備が着々と進んでいるようです。窓際に小さな風鈴をつるしたのですが、
なかなかの涼を感じさせてくれます。エアコンの効いた部屋もいいのですが、
やはり自然の風は気持ちがいいですね。
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