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知っておきたい遺言書の基礎知識

◆概要
 遺言は、ご自身が亡くなった場合に財産を誰にどのように分配するか等について、自己の意思を明らかにするものです。
 相続発生時に被相続人が生前に作成した遺言書が存在する場合は、基本的にはその遺言書に基づいて財産が分配が行われますが、遺言書がない場合は相続人全員の話し合いによって遺産の分け方を決めることになります。
 そのため、「法定相続人以外(内縁関係の者や、血縁関係にない者など)にも財産を分けたい」、「特定の財産を特定の相続人に相続させたい」などといった意思がある場合は遺言書を作成しておく必要があります。
 遺言書には、1遺言者自らが手書きで作成する「自筆証書遺言」、2公証人が遺言者から聞いた遺言の内容を記載し、公正証書として作成する「公正証書遺言」、3遺言の内容を明かさず、遺言書の存在だけを公証人に証明してもらう「秘密証書遺言」があります。

◆自筆証書遺言について
◎自筆証書遺言
 自筆証書遺言は、遺言者が遺言の全文、日付、氏名を自分で手書きして、押印をする遺言書です。遺言書の本文はパソコンや代筆で作成できませんが、財産目録については、パソコンで作成した目録や預金通帳や登記事項証明書等のコピーなどを添付する方法でも作成可能です。その場合は各ページに自書による署名と押印が必要です(両面コピーなどの場合は両面に署名・押印が必要)。
 作成に費用がかからず、いつでも手軽に書き直せるといったメリットがありますが、一定の要件を満たす必要があり不備があると無効になってしまう場合があります。また、自宅で保管している間に、遺言書が改ざん偽造、紛失などのおそれもあります。
 なお、遺言者の死亡後、遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人は、開封前に家庭裁判所に遺言書を提出し、検認※を受ける必要があります。
※検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日時点における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造改ざんを防止するための手続です。

◎自筆証書遺言書保管制度
 自筆証書遺言における問題を解消するため、自筆証書遺言書を法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」が、令和2年7月10日から開始されています。
 本制度を利用した場合、自筆証書遺言書が法務局で保管されるため、紛失や偽造などのおそれなく、遺言者が亡くなった際に遺言書が法務局に保管されていることを相続人等へ通知することも可能です。また、法務局職員が外形的な確認(全文、日付、氏名の自書、押印の有無等)を行います。
なお、家庭裁判所での検認手続も不要となります。

◆公正証書遺言について
 公正証書遺言は、公証役場等で2人以上の証人の立会いの下、遺言者が遺言の内容を公証人に述べて、公証人がその内容を記載して作成する遺言書です。
 証人が2人以上必要となり費用がかかりますが、公証人という法律の専門家が遺言書作成を手がけてくれるので無効になる可能性が低く、遺言書の原本は公証役場で保管されるため、偽造や改ざん等のおそれがありません。
 なお、家庭裁判所での検認手続は不要です。
※未成年者や推定相続人(当該相続において相続人となると想定される被相続人の配偶者・子・父母などの利害関係にある人)などは証人になることはできません。

◆秘密証書遺言について
 秘密証書遺言は、公証役場に作成した遺言書を持参し、公証人と2人以上の証人に遺言の内容を明かさずに遺言書の存在のみを証明してもらう遺言書です。
 遺言書はパソコン等を用いて作成したものでも認められ、内容を誰にも知られずに遺言書が遺言者本人のものであることを証明できますが、公証人が遺言書の内容を確認できないため不備などで無効となる可能性があり、遺言者自身で保管する必要があるため紛失などのリスクがあります。
 なお、相続人等が開封する際は家庭裁判所での検認手続が必要となります。

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