中小企業倒産防止共済に係る掛金の損金算入措置の一部見直し
◆概要
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、中小企業倒産防止共済法に基づく共済制度で、取引先事業者が倒産した際に中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐため、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れできる制度です(独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営)。
本共済の掛金は会社等の法人の場合は税法上の損金、個人事業の場合は必要経費に算入でき、共済契約を解約した場合でも掛金を12ヵ月以上納めていれば掛金総額の8割以上の解約手当金を受け取ることができますが、近年、節税のみを目的として、短期間で解約・再加入を繰り返す行為が発生しており、本来の制度利用に基づく行動ではないとして、令和6年度税制改正により、このようなケースでの掛金の損金算入を制限する見直しが行われました。
◆中小企業倒産防止共済のポイント
◎加入対象者
業種ごとに定める資本金などの額または従業員数の基準のいずれかが該当する「中小企業者」で、引き続き1年以上事業を行っている方が加入できます。
◎共済金の借入れ
取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になった場合は、その事業者との取引の確認が済み次第、共済金の借り入れることができ、無担保・無保証人で受けられます。
貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」のいずれか少ないほうの金額となります。
◎掛金
掛金月額は5,000円から20万円までの範囲内(5,000円単位)で自由に選ぶことができ、掛金総額の積立限度額は800万円です。
また、掛金は損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。※個人事業主の場合、事業所得以外の収入(不動産所得等)については、掛金を必要経費として算入することはできません。
◎解約手当金
共済契約を解約した場合は、掛金の納付月数に応じて解約手当金を受け取ることできます。
自己都合の任意解約であっても、掛金を12ヵ月以上納めていれば掛金総額の8割以上の解約手当金を受け取ることができ、40ヵ月以上納めていれば納めた掛金総額の全額と同額が受け取れます。
なお、解約手当金は税法上、解約した時点での益金(法人の場合)、または事業所得の収入金額(個人事業主の場合)に算入されます。
※掛金の納付日数が12ヵ月未満の場合は掛け捨てとなります。
◆令和6年度税制改正における見直しの概要
◎改正の背景
平成23年10月に掛金積立限度額を増額(320万円→800万円)して以降、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにも関わらず加入が増加しており、近年、解約手当金の支給率が100%となる加入後3年目、4年目に解約する傾向が特に顕著で、解約してすぐに再加入する行動変容が発生しており、本来の制度利用に基づく行動ではないことから、短期間での解約・再加入に対して掛金の損金算入を制限する見直しを行うこととする。
◎改正の内容
中小企業倒産防止共済の共済契約を解約した後、再度共済契約を締結する場合に、その解約の日から2年を経過する日までの間に支出する当該共済に係る掛金については、損金または必要経費の額に算入できないこととします。
この改正は令和6年10月1日以後の共済契約の解約について適用します。