交際費等を支出した場合の税法上の取扱い
◆令和6年度税制改正による交際費課税の見直し
令和6年度税制改正により交際費等の損金不算入制度が見直され、交際費等の範囲から除外される一定の飲食費(社内飲食費を除く)に係る金額基準が1人当たり1万円以下(改正前:5,000円以下)に引上げられました。この改正は、令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用されます。
また、接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限が3年延長されました。
◆交際費等の範囲
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。
◎交際費等の範囲から除かれるもの
次に掲げる費用は交際費等から除かれます。
・飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」)のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が1万円以下(令和6年4月1日前に支出した飲食費は5,000円以下)である費用。
※この規定は、1飲食等のあった年月日、2飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係、3飲食等に参加した者の数、4その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)5その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
※金額基準の判定は消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行います。
・専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用。
・カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用。
・会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用。
・新聞、雑誌等の出版物または放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、または放送のための取材に通常要する費用。
◆交際費等の損金不算入額の計算
法人が交際費等に該当する費用を支出した場合は、原則として、その全額が損金不算入とされていますが、損金不算入額の計算に当たっては、法人の区分に応じ、一定の損金算入措置が設けられています。
◎期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人
次のいずれかの金額を損金算入できます。
(1)交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く)の50%に相当する金額。
(2)交際費等の額のうち、800万円にその事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額(定額控除限度額)に達するまでの金額。
◎期末の資本金の額または出資金の額が100億円以下である法人
交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く)の50%に相当する金額を超える部分の金額を損金算入できます。
◎期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人
支出する交際費等の額の全額が損金不算入となります。