iDeCoの概要と令和6年12月から施行となる制度改正
◆iDeCo(個人型確定拠出年金)の概要
iDeCoは、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金のひとつです。加入者自らが掛金を拠出して運用方法を選び、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受けることができます。
令和4年5月からiDeCoに加入できる年齢が拡大され、基本的に65歳未満の公的年金の被保険者が加入対象となりました。60歳以上の方でも、第2号被保険者(会社員など)又は国民年金に任意加入している第1号第3号被保険者(自営業者専業主婦など)であれば、iDeCoに加入可能となります。
◎3つの税制優遇
①掛金が全額所得控除・・・iDeCoの掛金は加入区分に応じた拠出限度額の範囲内で設定(月々5,000円以上1,000円単位)でき、拠出した掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。
②運用益が非課税・・通常、金融商品の運用益は課税(源泉分離課税20.315%)対象となりますが、iDeCoでの運用益については、非課税で再投資されます。
③受給時は所得控除・・・iDeCoの年金資産は、老齢給付金として原則60歳から受け取ることができます。受取方法は年金又は一時金を選択(金融機関によっては併用可能)でき、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金として一括で受け取る場合は「退職所得控除」の対象となります。
※60歳から受け取るには60歳になるまでにiDeCoに加入していた期間等(確定拠出年金の通算加入者等期間)10年以上必要であり、10年に満たない場合は受給可能年齢が繰り下がります。
◆令和6年12月から施行となる制度改正
◎企業年金に加入する者のiDeCoの拠出限度額の見直し
企業型確定拠出年金(企業型DC)や、確定給付企業年金(DB)等の他制度に加入する者の拠出限度額を月額2万円に統一します。
第2号被保険者 | 令和4年10月1日~ | 令和6年12月1日~ |
企業型DCのみに加入 | 月額5.5万円一各月の企業型 DCの事業主掛金額 ※ただし、月額2万円を上限 | 月額5.5万円ー(各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額) ※ただし、月額2万円を上限 |
企業型DCとDB等の他制度に加入 | 月額2.75万円ー各月の企業型DCの 事業主掛金額 ※ただし、月額1.2万円を上限 | |
DB等の他制度のみに加入(公務員を含む) | 月額1.2万円 |
◎iDeCoの掛金を拠出できなくなった場合の脱退一時金の受給について
上記の見直しにより、DB等の他制度に加入する者(企業型DCの加入者を除く)は、DB等の他制度掛金相当額によっては、iDeCoの掛金の上限が減額となったりiDeCoの掛金の最低額(5千円)を下回り、掛金を拠出できなくなることがあります。
iDeCoの掛金を拠出できなくなった場合は、資産額が一定額(25万円)以下である等の脱退一時金の支給要件を満たした場合に脱退一時金を受給することができるようになります。
◎iDeCo加入時等の事業主証明書の廃止等
企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金の合算管理の仕組みにDB等の他制度掛金相当額を併せて管理することにより、iDeCoの実施主体である国民年金基金連合会は、毎月、企業年金の加入状況を確認できることになるため、事業主が行う以下の手続きは廃止します。
(1)従業員のiDeCo加入時・転職時における企業年金の加入状況に関する事業主証明書の発行
(2)年1回の現況確認