令和6年分の年末調整に係る申告書等のポイント
年末調整は、源泉徴収された税額の年間の合計額と年税額を一致させる精算の手続です。
令和6年分の年末調整では、定額減税が実施されたことに伴い、年末調整時点の定額減税の額(年調減税額)を算出し、年間の所得税額の計算を行います。年調減税額の計算に含める同一生計配偶者の有無及び扶養親族(いずれも居住者に限る)の人数は、各人から提出された「扶養控除等(異動)申告書」や「配偶者控除等申告書」などから確認することになります。
◆年末調整の対象者
年末調整は、原則として「扶養控除等申告書」を提出している人が対象となります。ただし、1年間の給与総額が2,000万円を超える人や、災害減免法の規定によりその年の給与に対する所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人などは除きます。
【年調減税】年末調整の対象となる人が原則、年調所得税額(年末調整により算出された所得税額で住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合は控除後の金額)から年調減税額を控除する年調減税の対象者となります。ただし、給与所得以外の所得を含めた合計所得金額が1,805万円を超える人は年調減税の対象外となるため、年調減税額を控除しないで年末調整を行うことになります。
◆扶養控除等(異動)申告書
原則として、その年の最初の給与の支払を受ける日の前日までに勤務先(2か所以上から給与の支払を受けている人は、主たる給与の支払を受けている勤務先)に提出することになっています。
年末調整においては、この申告書から扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除を確認することとなるため、申告書を提出していない場合や、控除対象扶養親族等に異動があって「異動申告書」を提出していない場合は提出するようにします。
【年調減税】所得者(合計所得金額1,805万円以下に限る)の年調減税額の計算に含めることができる扶養親族は、申告書に記載された控除対象扶養親族及び年少扶養親族(居住者に限る)です。
◆基礎控除申告書
基礎控除は合計所得金額が2,500万円以下である場合が対象となり、合計所得金額が2,400万円以下の場合は48万円の控除、2,400万円を超える場合は控除額が逓減するもので、年末調整において適用を受ける場合は基礎控除申告書を提出します。
【年調減税】合計所得金額の区分の判定結果が「900万円以下(A)」から「1,000万円超1,805万円以下(D)」までに該当する場合は、「本人定額減税対象」欄にチェックを付けます。
◆配偶者控除等(兼定額減税)申告書
配偶者控除は、合計所得金額が1,000万円以下(給与所得のみの場合は年収1,195万円以下、所得金額調整控除の適用がある場合は1,210万円以下)で、生計を一にする配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は年収103万円以下)である場合が対象となり、本人の合計所得金額に応じて38万円(配偶者が70歳以上の場合は48万円)を限度に控除が受けられます。また、生計を一にする配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下(給与所得のみの場合は年収103万円超201万6千円未満)の場合は配偶者特別控除の対象となり、本人と配偶者の合計所得金額に応じて38万円を限度に控除が受けられます。
【年調減税】年調減税額の計算に含めることができる同一生計配偶者は、合計所得金額が1,805万円以下である所得者と生計を一にする合計所得金額48万円以下の配偶者(居住者に限る)であり、該当する場合は「配偶者定額減税対象」欄にチェックを付けます。
◆所得金額調整控除申告書
所得金額調整控は、年末調整の対象となる給与の収入金額が850万円を超える方で、1本人が特別障害者である、223歳未満の扶養親族を有する、3特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族を有する、のいずれかに該当する場合に、給与収入から850万円を控除した金額の10%(15万円が限度)を控除するもので、適用を受ける場合は所得金額調整控除申告書を提出します。
◆保険料控除申告書
生命保険料や地震保険料については保険料控除申告書に基づいて控除の適用を受けます。また、社会保険料や小規模企業共済等掛金のうち、毎月の給与から差し引かれていない保険料等で、本人が直接支払った保険料等についても、保険料控除申告書に基づいて控除の適用を受けます。
保険料控除申告書を提出する際は、証明書類の添付等が必要です。
◆住宅借入金等特別控除申告書
住宅借入金等特別控除は、住宅借入金等の年末残高に応じて一定額を税額から控除できるもので、初年分は確定申告で適用を受けますが、2年目以降は年末調整の際に適用を受けることができます。