令和6年4月から適用開始となる主な制度(税制関係)
令和6年度税制改正の成立に伴い、令和6年4月(又は1月)から適用される主な税制には以下のようなものがあります。
◆賃上げ促進税制の見直し
・給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度について、次の見直しを行い、令和6年4月から令和9年3月までの間に開始する事業年度について適用します。
・教育訓練費に係る控除率の上乗せ措置の適用要件を緩和するとともに、子育てとの両立支援(くるみん認定)や女性活躍支援(えるぼし認定)に係る控除率の上乗せ措置を創設します。
・大企業向けの措置について、継続雇用者給与等支給額の増加割合(3%、4%、5%、7%)に応じて10%~25%の控除率にするなど見直します。
・中堅企業(従来の大企業のうち従業員数2千人以下)向けの措置を創設します。
・中小企業向けの措置について、赤字などにより当期の税額から控除できなかった金額を5年間繰越すことができる措置※を創設します。
※繰越控除をする年度において雇用者給与等支給額が前年度を超える場合に限り適用できます。
◆交際費から除外される飲食費に係る見直し
・損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費※(専らその法人の役員や従業員等のために支出する社内飲食費を除く)に係る金額基準を1人当たり1万円以下に引上げます。
※飲食等のあった年月日、参加者の人数や氏名などを記載した書類の保存が必要。
・令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用します。
◆事業承継税制に係る承継計画の提出期限の延長
・法人版事業承継税制の特例措置※は10年間(平成30年1月~令和9年12月末)の時限措置であり、適用を受けるには令和6年3月末までに「特例承継計画」を都道府県知事に提出し確認を受けることが必要でしたが、特例承継計画の提出期限を令和8年3月末まで延長します。※特例措置の適用期限(令和9年12月末まで)については延長しない方針。
・個人版事業承継税制における「個人事業承継計画」の提出期限についても同様に延長します。
◆免税購入品と知りながら行った課税仕入れに係る仕入税額控除の制限
・輸出物品販売場(免税店)で消費税が免除された物品(免税購入品)であることを知りながら仕入れた場合、課税仕入れに係る消費税額について、仕入税額控除の適用を受けることができません。
・令和6年4月1日以後に行う課税仕入れから適用されます。
◆子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
・住宅ローン控除について、子育て世帯及び若者夫婦世帯※が認定住宅等の新築若しくは認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得又は買取再販認定住宅等の取得をして令和6年1月から同年12月までの間に居住の用に供した場合は、控除対象借入限度額を上乗せし、認定住宅は5,000万円、ZEH水準省エネ住宅は4,500万円、省エネ基準適合住宅は4,000万円とします。
※19歳未満の扶養親族を有する者又は夫婦のいずれかが40歳未満の者。
・認定住宅等の新築又は建築後使用されたことのないものの取得に係る床面積要件の緩和措置について、令和6年12月31日以前に建築確認を受けた家屋についても適用します。
◆子育て世帯等に対するリフォーム減税の拡充
既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除について、子育て世帯等が所有する住宅に一定の子育て対応改修工事をして、令和6年4月から同年12月までの間に居住の用に供した場合を適用対象に追加し、標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額をその年分の所得税額から控除します。
※住宅内における子どもの事故を防止する工事や開口部の防犯性を高める工事、開口部・界壁・床の防音性を高める工事などで、標準的な工事費用相当額が50万円を超える等の要件を満たすもの。
◆住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置における「省エネ等住宅」の要件見直し
・直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、省エネ等住宅の要件を次のように一部見直し、令和6年1月1日以後の贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税に適用します。
・エネルギーの使用の合理化に著しく資する住宅用家屋の要件を、省エネ性能が断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上とします。