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2006年10月の記事

2006年10月30日

情が深いってェ!


柳家小せん師匠が亡くなった。

戦争に出征した最後の落語家である。


私は噺をひとつ教えて頂き仕事にも連れてってもらったこともある。

軽い飄々とした感じの高座で寄席には欠かせない人だった。

大体寄席はひと高座15分位。だが小せん師匠は10分しかやらないので小せん師匠の前は少しみんなで延ばしてやったもんだ。

この10分高座で客をいつも大爆笑させるんだから大した落語家である。


戦争中は今のベトナム、当時の仏領インドシナへ出征し航空写真兵をしていたそうだ。

仏領インドシナは平和なもんで、ひと月に二度か三度飛行機に乗って写真を撮りに行くだけ終戦まで敵には一度もお目に掛からなかったそうだ。

その上、宿営地の近所の乾物屋の娘とデキてしまって子供までもうけたと言う。


平和のうちに終戦、進駐軍がきたのは昭和22年になってからだったそうで、それまでノンビリと楽しく暮らしていたが、とうとうオランダ軍が飛行機でやって来た。

オランダ軍の兵士は女連れでしかもヘベレケに酔っ払って飛行機を降りて来て「飛行機の中を掃除しておけ!」と命令されて中に入ると吐瀉物だらけのゴミだらけ。

「オランダ人ってのはだらしがないんだな…」と思うのと「ああ…日本は本当に負けたんだ…。情けない…」としみじみ感じた、と酒を飲みながらおっしゃっていた。

その後無事復員。東京の惨状を見て唖然とした。

「これなら帰ってこないほうが良かった…」 


その乾物屋の娘はどうしたんですか?と聞くと「日本に帰ると告げるとニコニコ笑いながら子供を抱いて港まで見送りにきたよ。もうちょっと泣かれたりとかされるかと思ったが拍子抜けしたよ」とのこと。


戦争に行きながら本当に辛い体験をなさった方もいればこんな運のいい人もいるんですなぁ。


同じ戦争に行った夢楽師匠なんざシベリアに連行されて極寒の中で強制労働。

女がいないから馴染みの羊で性欲の処理をしたそうで、いざ復員の時はその羊が港まで見送りに来たという。

こっちから羊に手を振ると寂しそうに「メェ?!」と鳴いたってさ。

ホントかどうか…。してみると人間の女より羊の方が情が深いのか?

すると小せん師匠は、「毛深い方が情が深いってェからね!」大笑いした。


とぼけたフラ(生まれつきの面白い雰囲気)があって最後まで爆笑王だった
小せん師匠、どうか安らかに…合掌


2006年10月15日

鴨せいろ!


いや?、今年の夏は忙しかった!とにかく休みがない!

7月18日に国立演芸場での独演会が終わり、いつもならそれからしばらく弛緩するところだが…。

7月21日から30日まで池袋演芸場でトリ、8月1日?10日が今度は鈴本演芸場でトリ、11日から20日は浅草演芸ホールで住吉踊りの会、一日於いて22日は金八と金也と3人で始めたネタ卸の会『ゴールドラッシュ』。

ここまで休みがないのだ。

例年、夏というとほとんど仕事もなくブラブラしていたもんだが今年の夏は気違いみたいだった。

池袋のトリはネタ出ししてなかったので毎日高座の三時間前には家を出て今日やるかも知れない噺を三席ぐらい歩きながらブツブツさらって大体世田谷の自宅から新宿まで、もしくは新宿から池袋まで。

上野のときはネタ出ししてあったのでその噺だけさらえばいいからまあまあ楽だった。

それでも1時間は歩いて稽古した。トリを勤めてやっと一安心と思うと住吉踊り。

これは何が大変かというと、この時期有り難い事にお客様は午前11時から詰め掛けて下さる。

私の高座は11時30分から。そして住吉踊りは3時30分から。高座が終わってから毎日4時間、時間をつぶさなければならんのだ。


例年は漫画喫茶行ったり映画を見たりしていたが今回は『ゴールドラッシュ』があるから、その稽古で毎日、浅草から錦糸町まで歩いている。


なんで錦糸町かって??

おいしい蕎麦の‘みつまさ’があるからよ!大将がいい人で行く度に大好物の‘鴨せいろ’をご馳走してくれるのだ。

またこの‘みつまさ’の鴨せいろが絶品なのだ!!

皆様も是非一度ご賞味あれ!


例によって歩きながら名所、神社仏閣などを見ている。

前回の『ゴールドラッシュ』で中村仲蔵という噺をやった。

その中に柳島の妙見様が出てくるので一応ご挨拶をしておこうと思い、ECセンターからも程近い能勢妙見様に参拝した。

ここはかの勝海舟の父、小吉が息子の病気が平癒しますように、と願を掛けたことで有名だそうだ。

境内に入ると勝海舟の像がある。

「今度、噺の中で使わせて頂きます…」と挨拶をし、成功を祈願した。

ご利益のお陰かうまくいったが噺の中に出てくる妙見様は押上の駅前の方が本当だった。

しまった、間違えた!しかしこちらはビルになっていてあまりご利益はなさそうだったからまあいいや…


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