下の弟子の時松がお陰様で二ッ目に昇進した。三年弱というから早いもんだ。
私は3年半だったが私より先輩の今の円太郎兄さんなんかは6年以上前座だった。
私の時はすぐ下に九太郎(現花録)がいて「おじいちゃん(小さん師匠)が元気なうちに早く昇進させよう!」というので私もトコロテン方式で比較的早くなれた。
花録さん、小きんさん、私の3人で理事の師匠方のお宅へ挨拶に行って、「予定より早く終わったからどうしよう…、そうだ!みんなでディズニーランドに行こう!」ということになった。
当時花録さんはまだ17歳、ディズニーランドへ着いたらはしゃぐはしゃぐ!
「兄さん、早くこっちこっち!」
「九ちゃん、ちょっと休ませてよ…」
「ダメダメ!早く早く!!」
クタクタになった。
当時‘キャプテンEO’というマイケルジャクソンのパビリオンが開館したばかりで待ち時間は2時間だという。
「九ちゃん、あきらめようよ…」
「兄さん、何を言ってるんですか!?2時間位待てなくてマイケルに会う資格なんかありませんよ!」
別に会わなくても全然私は構わない。
しかし彼自身もブレークダンスをやってるから見たくてしょうがなかったようで2時間後出てきて
「ね!格好よかったでしょ!もう一回見ましょう!」
「もう勘弁して!」
墓石の看板なんかに顔出している場合じゃないよ、九ちゃん!
この時松、一度大失敗をした。私の独演会の当日、今日やる噺を弟子二人の前でさらっている時に、こともあろうかこいつが居眠りを始めたのだ!
客にでさえ寝られれば腹が立つのに僅か2mの近距離で舟を漕ぎ始めた。こいつは馬鹿か、とてつもない大物なのか 目が点になった。
こいつの居眠りは今回が初めてではない。私が結婚式の司会を頼まれた時「いずれこいつも頼まれることもあるだろうし見させておけばよかろう…」 と思い連れてった。
そうしたら居眠りだ。その時も怒ったら駐車場で土下座して、
「もうしません、もうしません、すみませんでした。」
と言っていた。
全く独演会の前でこっちもピリピリしている所にこの有様だ。すぐに奴の鞄を窓から外へ放り出し、
「そんなに眠かったら一生寝てろ!!!」と大激怒。
当然破門、と思ったが落語協会の事務局長や他の師匠のとりなしもあって一ヶ月の謹慎の末、戻してやった。自分でもよく我慢したと思う。
今度やったら即破門だよ、時松。
しかしわからんもんでその不安定な気持ちで臨んだ独演会が芸術祭賞をもらうことになったんだから。
こいつの要領の悪さは天下一品、しかし陰日当なく働くところが救いである。まだ噺がどうこうというレベルではないが頑張ってほしい。応援宜しくお願いします。

