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事業承継ブログ

中小企業診断士・伊地知克哉によるコラム。経営を次世代に引き継ぐための承継計画や後継者育成のコツをお伝えします!(※2011年6月まで「企業経営ブログ」として運営)

フレームの罠

[09/08]更新!

 最近、小売店のレジでおつりをもらう際に気づいたことがあります。電子マネーに2,000円をチャージしてもらおうと5,000円札を渡したら、3,000円のおつりをくれないのです。「おつりは?」と聴くと「あっ、すいません」とレジからおつりを出しました。別のケースでは、820円の代金を支払うのに2,000円札と20円を出したら、4,200円を返そうとするところで気づき、「あっ、1,200円でしたね」と照れながらおつりをくれました。

 この二つの例から推察できることは、人は日常的に頻繁に行っていることは、無意識の習慣として同じ行動を取ってしまいがちだということです。自分の行動の意味を理解せずに生活をしていると、このようなフレームの罠にかかります。おそらく、前者は5,000円をチャージする人が多いのでしょうし、後者は2,000円札を5,000円札と勘違いしたのでしょう。「仕事だから」という意識で働いていると個人の主体性は発揮されません。主体性とは、行動を自ら選択し、その結果に責任が持てることです。

 量販店やFC店などにおいては、業務マニュアルというものがあり、そのマニュアル通りに仕事をしてもらうことが、ローコスト・オペレーションになるというものです。先のお二人も、このローコスト・オペレーションの役割に自分の人格を同一化させてしまい主体性を失っていたのだと思います。こうした主体性のない人が増えることは組織を弱体化することにつながります。おそらく、難しいことはマネジメントの人間が考えているから、現場はとりかえのきくバイトでいい、という発想なのだと思います。全く、人を人として扱っていない証拠です。

 働いている人もこうした人権侵害に対して、もっと主体性をもって対抗するべきでしょう。現場の問題点は一番よくわかっているのですから、本部に提言することもできるはずです。もちろん、「そんなこと言ったらクビになる」と反論されるかもしれません。だったら、言わずにその経験を店長に昇格して発言力を高めるとか、転職で生かす方法を考えるべきでしょう。主体的な人なら、そのようなことは簡単にできます。

 多くの人が陥りやすいもう一つのフレームの罠は、「こんな誰にでもできる仕事なんか、何のキャリアにもならない」「自分の能力は、今の会社でしか通用しない(だから、会社を辞めたくても辞められない)」などというものです。本当でしょうか。私は逆のような気がします。どんな経験も、その人にとってはリソース(資源)です。私たちは、あらゆる経験を通じて個人を形成しているのですから、無駄な経験などありません。主体的に生きている人は、世間で「失敗」と評されるような経験も、「あの経験があったからこそ、今の自分がある」と言えます。

 そもそも成功とは、人生の中で最も危険な経験です。なぜなら、成功は他のやり方や他の見方などを学ぶことを妨げるからです。これに対して失敗は、それまで気がつかなかったことに対するまたとない好機です。これを好機と考えられないと「自分は何をやってもダメな人間なんだ」というマイナスのフレームに陥ります。最近、同業者の方が「ライフ・モチベーション」という言葉を「キャリア・デザイン」に変わる言葉として使っていました。「人生=仕事」ではなく、「人生をいかに生きるか」にリフレーミングすれば、生き方が180度変わるはずです。

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