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中小企業診断士・伊地知克哉によるコラム。経営を次世代に引き継ぐための承継計画や後継者育成のコツをお伝えします!(※2011年6月まで「企業経営ブログ」として運営)

小さな会社のたたみ方

[08/04]更新!

 えっ、何それ? というタイトルですよね。知り合いの行政書士の海老澤祥司さんが、この夏に出版された本のタイトルです。正しくは、『取引先や従業員に迷惑をかけない小さな会社のたたみ方 -社長が絶対に忘れてはいけない58のこと』(ダイヤモンド社)です。あまり、多くの経営者の方が参考にされるような事態になるのは好ましくないのですが、昨今の景気状況では読んでおくべき人は多いのではないかと思います。つまり、取引先や従業員さんたちです。「自分の仕事だけやって給料さえもらえていればいい」という安易な発想で働いていると、ある日突然、社長が行方不明ということにもなりかねません。

 著書の中で海老澤先生は、会社が倒産するのは資金繰りの行き詰まりを指摘されています。いわゆるキャッシュ・フロー経営です。問題は、会社のキャッシュ・フローは、外部の人や内部の人でも経理以外の部署の人にはわかりにくいということです。急に広告宣伝費が増えた、人を大量に採用した、新型の設備を購入したなど、一見すると合理的に見える多額の支出があるときは、何やら怪しい兆候の可能性を疑うべきです。経営者の中には、外観をよく見せようとして過大に費用を使うことがあるためです。

 サブ・タイトルにある「社長が絶対にやってはいけないこと」の一番は、経営者自ら逃げることです。逃げるとは、夜逃げなど株主や債権者などの責任追及を避けるために、経営者やその家族が行方をくらますことです。これは見つかったときの反動が大きくなるので、「もうダメだ」と感じたら、まずは事情を説明することです。決して逃げてはいけません。また、そのような事態になる前に、弁護士や顧問税理士などの専門家に相談をすることも必要です。こうした方々は少なくとも味方です。そのような事態になったとき、味方が一人でもいるだけで精神的にも安定して株主や債権者に真摯に向き合うことができます。

 海老澤先生は私が開業した当初からの知り合いで、ここ数年はメールや年賀状だけのやり取りでした。ところが、この春、ある研修にひょっこりと海老澤先生が参加されて旧交を温め合いました。海老澤先生は、「つかえる法律研究会」(通称「つか法」)という顧問先サービスhttp://www.tsukaeruhouritsu.com/を展開されています。日頃から経営について相談できる専門家を確保しておくこと、これは「社長が絶対にやっておくべきこと」といえます。私たちは、知っていることよりも知らないことのほうが多いのが普通でしょう。そもそも、「あなたの知っていることをすべて話してください」と訊かれて、それに答えている途中で人生が終わりそうです。何事も好奇心を持って学ぶ姿勢があれば、不測の事態にも対応できます。不測の事態で思考が停止するのは、何が起こったのかを認識できないからです。

  しかし、不測の事態といっても、そのほとんどは商品が売れないといったことです。大切なことはその予兆に気づく感覚の鋭敏性を養っておくことです。これは、文字通り感覚(五感)の問題なので、早く異変を感じることが大切です。先日の隅田川花火大会では、いつも観ている両国橋付近の人出が例年よりも少なかったようです。感覚の鋭敏性があると、ちょっとした顧客の変化に気づきますから、何らかの手を打つことができます。つまり、行動の選択肢が増えるのです。経営者は、日頃から感覚を鍛えておくことが大切です。最大のメリットは、感覚を鍛えるにはお金がかからないことです。

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