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[06/13]更新!
パートナーコンサルタントの伊地知です。昨日、日本経済新聞の朝刊に「同族会社株の相続減税」という見出しの記事が掲載されておりました。中小企業の後継者による事業承継を円滑にする狙いがあるようです。会社法でいろんな種類の株式を発行することが可能となりましたが、株式評価の面で使いづらさがあります。昨今の株式減税は、上場会社の株式譲渡益や配当金に関するものばかりでしたから、これで非公開中小会社の株式にも大きな減税策になることが期待されます。来年の通常国会で議員立法により法案が提出されるようなので、その行方が気になります。当面は株価対策を棚上げしておくことも考えたほうが良いかもしれません。
中小企業における事業承継は、経営問題というよりも相続対策であることが多いと思います。もちろん相続対策も必要ですが、本(もと)は「経営の継続性」であり、末(まつ)が「税金対策」です。企業の成長を考えれば当期純利益の拡大を図る必要がありますが、当期純利益は内部留保を膨らませオーナー生前時は留保金課税の問題から会社の資金繰りに影響があります。また相続時は株式の問題から相続人の納税資金対策が頭を悩ませます。相続人が事業を承継する場合、高い株式評価による納税資金負担から事業承継を拒み経営の継続性が危ぶまれるようでは、税制が民間企業の経営を圧迫するということになりかねません。その意味で、どのような法律になるのか慎重に議論を見守りながら、税制面から事業承継が妨げとならない制度が望まれます。
一方で、こうした制度面に関らず創業者と承継者との間で株式譲渡のトラブル話もよく耳にします。事業承継のために大量の新株発行を行い、それを承継者が引き受けたものの創業者が増資決議無効の訴えを起こすなどの事件です。こうした紛争が起こるのは、創業者と承継者のどちらが良い悪いということよりも、もはや会社がいずれか一方ないし両者によって私物化されている証拠です。私物化されていると権利関係で争いごとが起こりやすくなります。会社は社会的責任のある公器と考えれば、経営の持続可能性を踏まえた事業承継を、創業者と承継者との間で考えることができるはずです。
昨日といえば、上場会社に出資して話題となっているスティール・パートナーズのウォレン・リヒテンシュタイン氏が東京都内で記者会見しました。突然のことで狙いは定かではありませんが(6月の株主総会を牽制する狙いがあるのでしょうか)、その中で「日本の経営者を教育する」という表現がありました。リヒテンシュタイン氏の目から見れば、買収の脅威を感じている上場会社の経営者は未熟に映っているのでしょうか。リヒテンシュタイン氏は日本の会社の防衛策は主観的で、他国では違法だというようなことをいっています。これも、事業の継続に関わる上場会社ならではの攻防です。私物化の極みでしょう。
株主が株主の権利や利益を主張するのは構いませんが、それ以外の利害関係者への配慮がなければ、資本関係で過半数以上の株式を保有したところで、中味のない会社になるだけでしょう。株主の権利を主張するのであれば、どのような経営がオーナーとして望ましいのかを、株主自身も経営者や従業員などに語りかける必要があります。また経営陣も防衛策を株主総会の議題にしようとするのではなく、大株主と対等に経営について議論するべきです。それを敵対的買収と決め付けて防衛策を講じようとするのは、会社を私物化しているとしか思えません。「御身大事」の前に、会社の経営のほうが大事なのです。企業経営の継続性を慮ることが大切ではないでしょうか。
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