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『論語』に学ぶ企業経営3

[05/20]更新!

パートナーコンサルタントの伊地知です。前回は、好奇心を持って多くを知れば、自分の流れが生じるということを書きました。それは、経営者の自己啓発する姿を社内に見せることで、人材教育にもなると…。ここで注意が必要なのは、私たちは多くのことを知り始めると、それをひけらかしてみたり、知識を過信して他人の言うことを聞かなくなったりします。こうなると、トップリーダーの独断専横型のリーダーシップにより、フォロワーがリーダーの考えに共感しなくなります。

そんなことを感じたのかどうかわかりませんが、孔子は弟子の子貢と次のような問答をしています。
「子曰く、子貢、女(なんじ)は予を以て多く学んで之を識る者となすか。対(こた)へて曰く、然り。非か。曰く、非なり。予は一以て之を貫く」
孔子が自分のことに触れ、「私が多くを学んで、いろんなことを知っているから、何事にも対処できる人間だと思うか」と問いかけます。子貢が「違いますか」と確認すると、「違う。私は学んだことを一つの道理で貫いて物事に対処しているのだ」と返します。経営理念とか価値観というものに通じると思います。不易流行の如くブレない経営です。

そこで改めて子貢が問い直したのかわかりませんが、次のような質問をします。
「子貢問うて曰く、一言にして以て終身之を行うべき者あるか。子曰く、其れ恕(じょ)か。己の欲せざる所、人に施す勿かれ」
孔子の「一以て」が何かわかりかねたのか、子貢は「一言で終身行うべきことは何か」と問いかけます。すると、「思いやり」と答え、具体的には「自分がして欲しくないことは、人にするな」と教えています。「恕」は己の「心」の「如く」と書きます。私たちは好き嫌い、怒りや悲しみ、楽しみや苦しみなど、喜怒哀楽などの感情面では、ある程度は共通の価値観を共有しているはずです。自分が他人からされて嫌だなと感じることは、そのまま自分の心に従って相手に施さないようにする。そうすればブレないはずです。

先日、独占禁止法違反の疑いで、公正取引委員会が大手家電量販店の本社に立ち入り検査を始めたという報道がありました。新聞などによりますと、大手電機メーカーに販売員を派遣させて、浮いた人件費を値引きの原資にしていたようです。いわゆる不公正な取引方法の「優越的地位の乱用」の疑いのようで、家電量販店に対して優越的地位の乱用の疑いで立ち入り検査をしたのは初めてだそうです。家電量販店最大手の会社に立ち入り検査が入ったことは、家電量販店全体に警鐘を鳴らす意味もあるようです。そういえば、金融庁が消費者金融最大手の会社に行政処分をしたときも、金融担当大臣が「一罰百戒」と評していました。これを受けてか、ある量販店はこうした事をやめるようです。

これまでは家電メーカーが販売店を系列化していたため、安売りした小売店に自社製品の出荷を止めるなどで、メーカー側が検査を受けることはありました。しかし、1990年中ごろから「オープンプライス」が一般化して小売店が自由に価格を決めるようになり、力関係が逆転しました。力で抑えようとしてきたから、逆に力で抑えられようとしている家電メーカーと量販店。電力業界の隠蔽体質、建設業界の談合体質、保険業界の不払い体質等々、各業界は改めて事業のやり方を見直さないと国民の信頼を回復することはできません。不祥事が起こると経営者が「法令順守体制を整えます」と言いますが、そんな心のない言葉よりも「思いやり」の気持ちで再発防止策を説明して欲しいものです。

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