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「脳力」開発

[05/16]更新!

パートナーコンサルタントの伊地知です。中小企業診断士を目指して労務管理を勉強していた頃、「能力とは、知識・技能・態度からなる」と学びました。しかし、最近ではその前に「脳力」を開発することが必要ではないかと思うようになっています。能力と脳力、誤植ではありません。「脳力」の開発が、なぜ必要なのでしょうか。

まず能力の三要素である「知識」ですが、これは前回も書きましたが、外から得るものです。これに対して「技能」とは自分の内(身体)に身につけるものです。これを極めると「熟練の技」に至ります。簡単に定義すれば、「知識は仕事のやり方を知っていること」「技能は仕事ができること」です。どんな仕事かは、各人で異なります。では、「態度」とは何でしょうか。簡単にいえば「やる気」(モチベーション)のことでしょう。どうすればいいのか解決策を知っていながら意見を言わない人、もっと生産性を高めることができる技能がありながら言われたことしかしない人など…。仮に組織にこういう人がいたとしても、改善できる余地はあります。

それが「脳力」開発です。やる気とは、要するに「心」の問題です。心は「脳」の機能の一つです。ですから、「脳」を鍛えることでやる気を創出できます。最近、「脳のトレーニング」ツールが売れています。脳のトレーニングには、段階があると思います。専門書のような難解なものを読むこともトレーニングですが、これはどちらかというと知識を鍛えるためのものです。やる気は心ですから、コーチングやカウンセリングといった技法が有効でしょう。脳は「左脳」と「右脳」という見方と、「大脳新皮質」と「大脳辺縁系」という上下の見方があります。これらの見方を統合すると「左上脳」「右上脳」「左下脳」「右下脳」の四つの部位に分けて捉えなおすことができます。さて、私たちは日常生活で、どの部位を中心に使っているのでしょうか。実は、いろんな仕事の性質により、使うべき部位が異なり、経営全体で見れば組織構成員の総和では四つの部位は均等に使われていることが理想的です。しかし、短期業績志向の会社のように、特定の部位だけを突出して使用している企業経営があります。『論語』の中庸(ころあい)がわかる君子とは、こうした全脳的人格に優れた人をいうのだと思います。

リーダーシップ論では、IQ検査の対象である「大脳新皮質」(考える知性)だけではなく、鍛えるべき対象として「大脳辺縁系」(感じる知性)にも注目しています。感情が知性というと違和感があるかもしれませんが、そんなことはないと「感じています」。たとえば、初対面で気の会う人と合わない人がいると感じた経験があると思います。あるいは、お酒に酔っ払ってどうやって帰ったかわからないが、起きたら自分のベッドで寝ていたとか…。これは大脳新皮質の理性や論理のように意識の世界で行ったものでしょうか。むしろ、無意識のうちに身体が反応していたということではないでしょうか。当然、それは脳の「記憶」機能と関連があると思います。

なぜ、そのようなことができるのか。自分の「感じる知性」を知りコントロールできれば、それこそ能力の三要素の一つである「態度」が大きく変わります。これまで、「気づき」が大切といってきたのは、こういうことです。問題は、先程の四つの部位が均等に使われていないと、「心の病」になる可能性が高いということです(中庸が大切)。もし、今の生活が嫌だと感じていたら、一度リセットしたほうがいいと思います。「好きこそ物の上手なかれ」とは、「脳力」開発そのものといえます。

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